平成24年9月11日に、無担保ローン(リボ方式)と不動産担保ローン(証書貸付)の同日切替事案について、一連性を否定する最高裁判決が出ました。
借主が、CFJとの間でリボ方式の無担保ローン契約を結び、継続的な取引をおこない、その後、他社からの債務とCFJの債務を一本化するために、CFJとの間に、不動産を担保に入れて証書貸付契約を結んだという事案です。
最高裁は、第1取引(無担保ローン)は、融資限度額の範囲内で継続的に貸付と弁済が繰り返されることが予想されているのに対し、第2取引(不動産担保ローン)は、確定金額に対して約定金額を分割弁済するものであり、契約形態や契約条件が大きく異なるため、第2取引の借入金の一部が第1取引の残債務の弁済に充てられ、借主にはその差額金が交付されたとしても、特段の事情がない限り、2つの取引は別個の取引であると判断しました。
この判決には、以下の2点について、田原睦夫裁判官より補足意見が出されています。
①第2取引となる不動産担保ローンが、証書貸付ではなくリボ方式の場合には、両取引の基本的な相違は担保権設定の有無だけとなり、事実上一連の貸付と評価できるかについては、これまでの最高裁法理に従って判断される。
②不動産担保ローンによる貸付が、確定金額による1回の融資であっても、その後、限度額内で追加融資を受けることができる場合、「同一貸主」に対する複数の債務を一本化する趣旨で融資がなされた場合等には、一連取引と評価できる余地がある。
不動産担保ローンが、リボ方式ではなく証書貸付の場合は、たとえ同日切替であったとしても、今後、一連性が認められることは難しくなってしまいました。そういった意味では、過払金請求者にとって、大変不利な判決と言えます。
とはいえ、不動産担保ローンがリボ方式の場合には、一連性が認められる可能性があることが明示されているので、アコムやアイフルに対しては、有効な判例と言えます。この場合には、従来どおり、平成20年1月18日最高裁判決の基準で一連性が判断されることになると思われます。