民事再生の手続きには2通りあります。また住宅ローンに関する特則があります。
1.小規模個人再生
住宅ローンや別除権の付いた担保付債務の差し引いた総債務額の20%(原則)を3~5年(原則3年)で返済する方法。
弁済総額は、一般債権額の20%が原則です。ただし、債務額が500万円以下の場合は100万円となり、債務額3,000万円までは300万円が最高額となり、3,000万円~5,000万円まではその10%が300万円に加算されます。
なお、認可決議方法は債権者の多数決となり、場合によっては認可が下りない可能性もあります。つまり、決議には債権額の大きい過半数を持っている債権者の意見が優先されます。
2.給与所得者等再生
サラリーマン(正社員)のように、定期的に安定した給与収入を得ている人のみが利用できる手続きです。(アルバイトは原則不可。年金受給者は可)
返済額は、基本的には可処分所得(給与から必要最低限の生活費を差し引いた額)の2年分の額とします。個人の収入格差にもよりますが、小規模個人再生よりも給与所得者等再生の方が総返済額が高額になることが多くあります。
また、最低返済額が100万円と規定されているため、可処分所得の2年分の額が100万円以下の場合には、100万円を返済することになります。
1.債務総額が5,000万円以下であること。ただし、住宅貸付を受けた債務(住宅ローン)で住宅資金特別条項を適用する場合はこれを全て除き、別除権付債務(質権や抵当権等)がある場合には、債権者がその権利を履行した後の残債を総債務額に組み入れます。
2.継続的または定期的に安定した収入が得られること。
○小規模個人再生 → 自営業者、個人業者、サラリーマン(正社員)
○給与所得者等再生 → サラリーマン(正社員)
※ ただし、雇用形態がアルバイトの場合は、原則として認められない。ただし、勤続が長いなど実績に応じて可能な場合もある。
3.自己破産の場合の配当よりも民事再生案の方が多額であること。
※ 連帯保証人がいる場合には、主債務者が免責を受けた分については、連帯保証人に支払義務が残ります。
住宅ローン以外の債務を圧縮し、住宅ローンは完済して住宅を保持し続けることのできる制度です。
■適用条件
1.申立人が対象となる住宅を所有または共有していること
2.対象となる住宅に住宅ローンの抵当権が設定されていること
3.申立人が対象となる住宅に居住していること(別荘などは不可)
4.対象となる建物・土地に住宅ローン以外の抵当権がついていないこと
5.住宅ローンが代位弁済されていた場合、代位弁済後、半年以上経過していないこと
→ 例えば、銀行で住宅ローンを組んだが、返済が滞り、保証会社がその全債務を債務者に代わって銀行に返済し(代位弁済)、その後半年以上経過した場合などは適用条件外となり、住宅資金特別条項の適用が不可能となります。
※ ただし、住宅ローン契約が親子ペアローンやそれに準ずる契約の場合には、登記の状況によって、住宅ローン債務者全員が民事再生の申し立てをする必要がある場合もあります。