弁護人が代理人となり、債権者からの取り立ての防波堤になってくれること
債務者より受任すると、受任通知を債権者に送付します。その後は、債権者は直接、債務者やその家族、勤め先などへの取り立てを行ったり接触してはならず、弁護士を通さなければならなくなります。債務者は債権者と面と向かって向き合う必要はありません。法律違反してでも連絡や接触しようとしてきたり、訴訟などを仕掛けられても弁護士にすぐ相談することで対処できます。
和解できた後に、和解どおりに返済ができているか、毎月チェックしてくれること
弁護士は、債務者が支払いに回せる金額の限界を計算し、その範囲内での返済に徹します。再度滞ることのないよう弁護士がチェックすることにより、債務整理が最後まで順調に行くようになります。
不安・恐怖感を取り除いてくれること
債権者が今後どのような行動をとってくるか、弁護士はある程度客観的に予測して対応しますし、何かあれば相談にのります。
費用がかかること
弁護士に支払う金額がないという人もいると思います。しかし、分割するなり扶助を受けるなど対応することができます。詳しくは債務整理にかかる費用をご覧ください。
弁護士との打ち合わせに時間を割かれること
弁護士に任せておけば安心と考え、何もしない人がいます。また、弁護士に依頼しておきながら、さまざまな理由をつけて和解した金額を支払わない人もいます。しかし、その結果、弁護士が辞任せざるを得ない事態になれば、その後はより厳しい状況が発生します。弁護士に任せる場合は、弁護士との約束も守っていただくことになります。
任意整理のメリット・デメリットについてはこちら
特定調停のメリットには、次のようなことが考えられます。
●任意整理と同様に一部の債権者を除外できる
自己破産や民事再生のように全ての債権者を対象としなくても手続きすることが可能です。これは、任意整理の場合も同じです。
●ギャンブルや浪費が原因でも利用可能
自己破産手続きでは、ギャンブルや浪費が原因の借金(免責不許可事由といいます)は、破産することができません。しかし、特定調停はギャンブルや浪費が原因であっても利用することができます。
●利息制限法による再計算を調停委員が行う
特定調停では、調停委員が、債務者が支払ってきた金銭を利息制限法に引き直して制限超過部分を元本に充当する再計算を行なって、現在の借入残高を確認した上で、長期の分割弁済とするのが原則です。
●自己破産や民事再生のように官報に掲載されることはないので、第三者に知られることはない
自己破産や民事再生は、官報(政府発行の新聞のような書物)に名前と住所が掲載されますが、特定調停の場合は、官報に掲載されることはありません。
●自己破産のような資格制限がない
自己破産をすると、限られた職種に関して一定期間就くことができませんが、特定調停にはそのような制限がありません。
●法律の知識がなくても、債務者本人だけで遂行が可能
特定調停は、申立により裁判所が両当事者を呼び出し、調停期日において調停委員が交互に当事者の言い分を聞き、話し合いがまとまれば裁判所において調停調書というものを作成して終了するというもので、民事訴訟のように高度な知識がなくても、債務者本人だけで十分に遂行が可能です。
次に、特定調停によってどのようなデメリットがあるかを説明します。
●将来利息が付けられる可能性がある(原則としては将来利息は付けない)
原則として、特定調停では、和解成立から完済までの将来の利息(将来利息)は付けないことになっていますが、やむを得ない場合は、調停委員に例外処理を委ねるとされていて、現に、銀行系金融機関における長期ローンや企業対企業の案件では将来利息が付される場合もあります。
●支払いが滞ると差押えを受ける可能性がある
特定調停は、裁判所を通す手続きになりますので、調停が成立すると、判決と同じ効力が発生します。そのため、調停成立後に支払いが遅れると、差押えを受ける可能性があります。
●調停に出頭する時間がとられる
特定調停は、調停成立までに最低2ヶ月程度の時間がかかります。正当な事由なく出頭しない場合は、過料の制裁が定められています。しかし、現実に過料が科されることは稀であり、特別な理由がなく欠席した場合は、裁判所が調停を終了させることもあります。
また、特定調停事件の管轄裁判所は、原則として相手方の住所、居所、営業所または事務所の所在地を管轄する簡易裁判所になりますので、債権者の営業所または事務所の所在地が自宅から離れていると、その管轄する簡易裁判所に行くまでの時間もかかることになります。
●自己破産や民事再生のような大幅な債権カットは期待できない
特定調停は、債務者と債権者がお互いに話し合って多重債務を解消する手続きとなりますので、債権者が合意しなければ調停は成立しません。そのため、大幅な債権カットや、弁済額がごく僅かな場合は、債権者が合意する可能性が低く、調停が成立しない場合があります。
特定調停が馴染む事案としては、以下のものが考えられます。
○執行手続きを停止させる緊急性・必要性が高いもの
○事前の債権者との交渉などから、ある程度の互譲が期待できるもの
○相手方とすべき債権者も少数で、継続弁済可能な程度の資力があるもの
○弁護士等の専門家が関与しなくても債務者個人で対応可能なもの など
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